ROG Phone3ファーストインプレッション

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著者

Pottal

公開日

2020年12月13日

本サイトは広告やアフィリエイトプログラムにより収益を得ています
これはアーカイブ記事です

この記事は、はてなブログ時代(旧Pottal-Portal)の記事で、アーカイブを目的に公開しているものです。
情報は古くレイアウトも崩れています。
必要に応じて、順次リライトや最適化を行っていきますので、今しばらくお待ち下さい。

かつて、これ程までに箱から取り出すのをワクワクさせるスマートフォンがあったでしょうか。
興奮醒めやらぬままに、ROG Phone 3のファーストインプレッションをお届けしたいと思います。
と、言っても既に発売から2ヶ月経ってしまったスマホなのでどれ程の需要があるのか分かりませんが…でも、やっぱり買ったスマホがワクワクをくれるものであった時に、この感動を言葉にしたいと思うのは当然ですよね? ということで、どこに向けてではなく自分のために、このROG(ゲーマー共和国)への住民税納付記録をつけたいと思います。

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目次

 

略式開封の儀

 

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ROG Phoneシリーズの箱たち

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開けた

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ROG Phoneシリーズの箱は凝った作りになっており、それぞれ格納形式が違う

 

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光の加減で表情を変える

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付属品一覧

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SIMピンが新しくなった

 

ファーストインプレッション

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いや、吸い込まれる美しさ。見て見て!とLook at this!と誰かに声をかけたくなるような美しさ、ただただ美しい。そして込みあがってくるワクワクと確かな所有感。

この瞬間が一番楽しい、そう思わせてくれる。

そんなファーストインプレッションでした。

外観レビュー:透明感を高めた背面に吸い込まれそう。

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思わず息を飲みました。この美しさは製品写真では伝わりません。また、盗難防止のコードやら管理シールやらが貼られた展示機でも分からないでしょう。佇まいが、もう違うのです。透き通った硝子の上に奔る虹の呼吸と中央に在るゲーマー共和国の証が、ともすれば武骨ささえ感じる無機的なトリプルカメラが、これが他のスマホとは一線を画す存在だと教えてくれます。
ま、指紋がべたべた付くので全てが台無しになるんですけどね。

淡く虹を宿すROGロゴ

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ああ、やはり美しい。
ROGの象徴であるこのロゴはカラフルに光り、ゲーミングスマホとしてここに在ることを確かに主張してくれます。
また、電源を切っている時でさえ光の加減で虹色に輝くため、いつ見ても惚れ惚れとさせてくれます。

今回はファーストインプレッションのため、AURA RGBの詳細は割愛させていただきますが、実はこのROGロゴはただ光るだけでなくアプリの通知に合わせて色を変えることも可能です。

そのため、机に置いていたスマホが震えたときにROGロゴの色を見るだけでそれがTwitterからの通知なのかGmailからの通知なのか分かる、実用性も兼ねたロマンあるライティングという訳ですね。
また、ROG Phone 3に付属するAeroActiveCooler3および拡張アクセサリのTwinViewDockⅡ(と、おそらくTwinViewDock3)は、ROG PhoneⅡに引き続き、2つの色を組み合わせてグラデーションカラーにする「ミックスライト」を選択することが可能で、より広いカスタマイズが可能です。

一方ROG Phone3の本体側はミックスライトに対応していません。
それにしてもいいですね、グラデーションライティング。確かBlack Shark 2が(グラデーションをいくつかのパターンから選ぶ形にはなりますが)グラデーションライティングに対応していたので、それに続いた形になります。光らせるのが大好きなオタクとしてはもっと対応製品が増えて欲しいものです。

透けて見えるヒートシンク

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ROG Phone 3の背面はガラス製となっていますが、その中でも特にヒートシンクの真上は中が透けて見える仕様になっており、ROG PhoneⅡ比で6倍の大きさになったと謳われているヒートシンクのカッコ良さを活かしたクールなデザインとなっています。

Turn on,紅き闘志

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背面から側面に視線を移すと、自然と目を惹くのが電源ボタンです。
エッジだけ紅く染められており、そのカッティングと合わせて、無個性に終わりがちな単調な側面に文字通り彩りを与えてくれます。
黒やグレーを基調とした中に、赤があると引き締まった雰囲気が出て良いですね。

 

彫られし勝利

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上から順にROG Phone3、ROG PhoneⅡ、ROG Phone

側面に彫られたROGの文字、これはROG Phoneシリーズが3台に渡って継承してきたAirTriggerボタンを示すものです。いままで幾何学模様だったものが、とうとうROGを刻んだという事実が意味するのは、第三世代AirTriggerに対する自信の表れでしょうか。
左右に1つずつ割り当てられていたAirTriggerは、とうとう左右2つ合計4つへと細分化し、より勝利へと近付きました。また、引き続きスライド操作にも対応しているため、ショルダーボタン(LRボタン)としてだけでなくスワイプも可能というゲームチェンジャーっぷりです。
もちろん、ゲーム機能だけでなく普段使いでも(今は没落してしまった同郷のHTCのように)握って操作することによって、Googleアシスタントの呼び出しやスクショを割り当てられるため便利です。

 

伝統と革新への扉

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上から順にROG Phone3、ROG PhoneⅡ、ROG Phone

ROG Phoneシリーズの特徴と言えば、その最高峰のスペックだけでなく他社には真似出来ない豊富な拡張アクセサリーとそれによる多様なゲーム体験の提供です。

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ROG Phone3にROG Kunai3を取り付けTwinViewDockⅡにセットした図

そして、その拡張アクセサリーに必要なのがTypeCポートをカスタマイズした独自のサイトマウントコネクターです。
TypeCポートとそのすぐ隣に独自ポートを配置し、これを1つのポートとして扱うため、通常のType Cデバイスにも拡張アクセサリーにも対応するという考えられた仕様となっています。
ちなみに、独自端子側は銅色になっているため目視でもType Cポートとの見分けが付きますし、独自コネクタにType C端子は物理的に刺さらないようになっています。
ハードウェア設計に関して知識の乏しい私ですが、2つのポートを束ねることで、TypeC(USB 3.1 Gen1)側の性能(帯域)を犠牲にすることなく独自端子側でファンの制御やAURA RGBの管理が行えるのは賢いのではないでしょうか。
また、物理的に接地面積が増えるために(端子に負荷を掛けるのはもちろん良くないことですが)万が一の時にぽっきり端子が折れてしまうのを防ぎやすくなりますし、安定性も増します。
話が逸れてしまいましたが、ROG Phoneシリーズの伝統とそして革新性の象徴でもあるサイドマウントコネクタは健在という話でした。

 

ついに消失したCopper Speaker Line

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左から順にROG Phone、ROG PhoneⅡ、ROG Phone3

ROG Phoneシリーズにノッチという妥協の産物は存在しないどころか、その醜さを嘲笑うかのように銅色のスピーカーがノッチを模したような形で存在していました。
ROG PhoneⅡではそれが縮小し、スピーカーではなくスピーカーに沿うような形でデザイン上のアクセントとして銅色のラインが引かれるにとどまり、そしてついにROG Phone 3ではそれすら消失する形となりました。まあ、別に音響を考えてのものではないでしょうし、銅色のシールがあったところでどうということもないため、どうでもいいことですね。

Dot matrix design-サイバーパンクな鎧を纏う-

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もしあなたがROG(ゲーマー共和国)への住民税をもっと多く払いたい、愛国心を見せつけたいと望むのであれば、Lighting Armor Caseの装着は悪い選択ではありません。

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Dot matrix designはドットパターンを変更することが出来ず、ただドットで描かれたROGロゴを背面のROGロゴと同じカラーやパターンで光らせるのみですが、信仰心を満たすに十分かつ、さり気ない布教を可能とする明るさです。

 

また、あなたが筋トレにハマっていて、腕力を鍛える魅力に取り憑かれているのであればこのケースを使ってトレーニングするのも良いでしょう。

このケースと付属のAeroActiveCoolerを取り付けると、ROG Phone 3は320g以上もの重さをあなたに提供してくれます。

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しかし、例えばROG Phone 3を保護したいという目的や、あるいはバッテリーを節約したいと考えているのであれば、これをオススメすることはありません。
まず、このケースはスマートフォンの全てのエリアを覆っている訳ではありません。特にROG Phone 3にはAirTriggerという超音波センサやサイドマウントコネクタがある関係でカバーしてはいけない領域も多く持ちます。
つまり、落下した際に傷やひび割れからこのケースが守ってくれることに期待してはいけません。
このエキサイティングなドットイルミネーションは本体のカラーLEDフラッシュを使って光らせているので、言うなれば懐中電灯を点けっぱなしにしているようなものです。バッテリーを飲み干す勢いで消費していくので充電することなしに1日を終えることはありません。

忘れていましたが、付属品以外のROG Phone拡張アクセサリーと頻繁に接続する人も、このケースは避けた方がいいでしょう。当たり前ですが、厚さが大きく変わるためにこのケースを付けたままでは他のアクセサリーを装着することは出来ません。
あなたが、ROG Phone 3をニンテンドーDSのように使う時、ケースは何処に行きますか?
決して置き忘れてしまうようなマヌケにはならないでください!

 

重いROG Phone 3をさらに重くするたった一つの冴えたやりかた

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ROG Phone 3は何も付けない状態でも公称240gという確かな重さを感じさせてくれます。200gを超える重さのスマホは「重い」と言われがちですが、この6.6インチの大画面かつ6000mAhの超大容量バッテリースマホが軽いわけないでしょう。ゲーミングスマホのため様々な冷却機構を備えていることを思えば、むしろよくこの程度の重さに抑えられたものです。iPhone 12 Pro Maxなんて僅か0.1インチ大きい6.7インチディスプレイにたったの(大きく見積もって)3700mAhのくせに226gですよ?
まあ、そんな話は置いておいて、ROG Phone 3をさらに重く、なおかつクールにさせるたった一つの冴えたやりかたが、付属品であるAeroActiveCoolerを取り付けることです。
重いスマホをさらに重くするなんて!と
正気を疑われそうなこの行為ですが、AeroActiveCooler3に指を引っ掛けられるため、持ちやすさもぐんと上がりますし、面で支えるように持つからか、むしろ普通に持つより握力を必要としません。

なんというか、普通はスマホを握力を用いて握りながら持っていたと思うのですが、AeroActiveCooler3を付けた状態だと、中指と薬指でクーラーを挟み込み、薬指全体を使って面でスマホを支える状態となります。この状態でだいぶ安定はしているのですが、乗っている電車が急に揺れたりした際などに備えて小指を添えいざという時はしっかり握り込めるようにしています。

ROG PhoneやROG PhoneⅡでは、付属クーラを使う機会など、ベンチマークテストの時以外はなかったのですが、持ちやすさが上がると分かった今、常に装着している状態となっています。
しかも、このAeroActiveCooler3はスタンドが付いているため、机や床にROG Phone 3を置いて動画を観る際にとても役立ちます。

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いや、そんなスタンドなんてそれ専用のケースがあるじゃないと言われそうですが、違うんですよ。ROG Phone 3のクールさを損なわずに使えるというのがミソなのです。あと、市販のケースじゃ滑りにくくはなっても持ちやすさは上がりません。ただ重くなるだけです。

無駄に長くなってしまったので、簡潔にまとめると、つるつる滑るし重いし持ちにくいROG Phone 3に付属品のAeroActiveCooler3を付けると、重さは増しますが、今までの「握って持つ」から「指に引っ掛けて支える」「小指は(握らず)添えるだけ」という状態になり、滑らずかつ握力を必要とせずに持てるため、重さがそこまで苦となりません。
しかも、AeroActiveCooler3はスタンドが付いているので地味に便利という、良いこと尽めでした。
ただ、流石にケース無しの裸運用は傷が怖いので、背面だけでも保護しようと、そしてせっかくのROGなんだしいっちょ派手にAURAしよう(光らせよう)と、Lighting Armor Caseも付けたら324gになりました。でも、数字で見るよりは重さが苦になりません。重くないと言えばもちろん嘘になりますが… でもまあ、ROG Phone3そのものが大きく取り回しが悪いこともあり、持ちやすさを向上させてくれる付属クーラーは外すつもりはありませんし、指紋がベタベタと付かずなおかつ他とは一線を画すLighting Armor Caseも付けたままでいたいと思います。300g超えのスマホになりますが。

バッテリー持ちと充電について

まず、バッテリー持ちを気にするのであれば、ハイリフレッシュレートをオフにするべきです。また、私のように外付けファンを常用したり、AURA RGBでスマホやファンを無駄に光らせてイキったり(しかもケースはカラーLEDフラッシュを使って光る!)なんてあり得ないことです。
流石に6000mAhのスマホであっても、そんな無茶な設定でバッテリー持ちが悪いなんて言われたら怒りが大爆発です。ちなみに、ASUSスマートフォンは何重ものバッテリー保護機能を備えてるので、バッテリーが爆発なんてしないと思いますが…
と、話がそれてしまいましたが、そんな無茶な使い方をしていても一応朝から寝る前までは保ちます。
まあ、日中はバイトがあるためあまり使うこともありませんし、待機状態の時はファンも回りませんし、ライトも通知がある時以外は光りません。
日曜日しか休みがないので、日曜日にがっつり使ってバッテリー持ちを検証したいと思いますが、とりあえず仕事中もスマホから目が離せないという方でなければ、問題ないのではないでしょうか。
それよりも嬉しいのが、充電関係です。
まず、ROG Phoneシリーズのオリジナル急速充電規格、Hyper Chargeで充電すると9V以上3Aで合計27W以上の急速充電が行われます。
これにより
10分で3%から19%へ
30分で3%から54%へ
60分で3%から89%へと充電されました。
気になる発熱ですが、Battery Mixによると最大で43.5℃でした。50℃を超えないのであれば安心して急速充電が出来そうです。

独自規格ではなく、USB PDで充電した場合はHyper Chargeより速度も落ち大体8.5V×1.5Aの約12W程で充電されます。
ちなみに、使用したACアダプタはRAVPowerの90W対応製品RP-PC128で、ケーブルは5Aにも対応したAUKEYのUSB TypeC to CケーブルCB-CD23です。
これにより10分で3%→12%
30分で28%
60分で53%
90分で75%
まで充電されました。
ASUS独自のROG HyperChargeを使用した際は3%から53%まで充電するのに30分だったのに対しUSB PDではその2倍の60分もかかってしまいました。

最近のモバイルバッテリーではUSB PDに対応したものも増えてきたのでいつでもガジェット急速充電が出来るというのは心強いのですが、USB PDにも色々あって、USB PDに対応しているからスマホも急速充電!とはいかず、USB PD PPSという規格にも対応している必要があるようです。

推測で申し訳ないのですが、付属充電器がUSB PD PPS対応なあたり、PD PPS対応充電器でないとフル速度で充電されない…といった可能性はないでしょうか。

— イサム (@isam3349800) 2020年11月3日

 

これについては本筋から外れてしまうため、後述します。

他に普及してる充電規格と言うとQuick Charge3.0でしょうか。(Quick Charge 4/4+は対応するモバイルバッテリーやACアダプターが少ないために検証しません)
QC3で急速充電した際は8.8V×1.4Aの約13Wで
10分で3%→12%
30分で3%→30%
60分で3%→54%
90分で3%→78%

一応、モバイルバッテリーの大手、Anker及びRAVPowerの規格でも試してみましたが、こちらは計測がモバイルバッテリーやACアダプターとまちまちなので参考程度にお願いします。

(ちゃんとした測定機器使って僕もUSB PD警察とかに就職したいなぁ…)

さて、散々充電速度について喧伝してきましたが、急速充電で気になるのが、バッテリーの劣化です。
少し語りたいので、語る前に結論を書きますが、ROG Phone 3では「低速充電」「充電制限」「バイパス充電」の3つが新たに追加されました。

低速充電

低速充電は読んで字のごとく、30W急速充電ではなく10Wでゆっくり充電するというものです。

充電制限

充電制限は本来のバッテリー容量の90%、もしくは80%分までで充電を止めてしまい過充電を絶対に防ぐというものです。
似たようなものに「スケジュール充電/AI充電」がありますが、こちらは80%を過ぎたらゆっくり充電し設定した時刻に100%になるようにするという機能であって、絶対に過充電を防いでくれる訳ではありません。

バイパス充電

「バイパス充電」に関しては、ゲーミングスマホらしい機能で、ゲームをプレイしている時は消費電力分だけ直接電力を給電し、バッテリーへの充電やバッテリーからの給電は行わないというものです。

 

連続ベンチマークで常勝を示す

スマホを買ったらまずすることがAnTuTuベンチマークです。Geekベンチも回しますが、やっぱりAnTuTuの方が性能が分かりやすいし、回していて楽しいというか、3D性能テストのあのカクツキ具合で進化をはっきり体感出来るので。
で、話をROG Phone 3に移しましょう。

ROG Phone 3はゲーミングスマホです。

ゲーミングスマホというのは、このベンチマークスコアでベストスコアを叩き出すことが仕事ではありません。連続してハイスコアを叩き出し続ける(パフォーマンスを低下させない)ことが仕事です
だってそうでしょう?ワンマッチのほんの一瞬だけヌルヌルに動いて、次の瞬間もうバテる(熱ダレする)し、スマホアチアチで持てない、なんてあってはならないわけです。
ということで、ゲーミングスマホであるROG Phone 3は戦い続けられるように冷却性能にも力を入れており、素の状態でも十分に高い冷却性能を本体付属品である空冷ファンで強制冷却してしまいます。

ROG Phone3連続ベンチマーク 空冷ファンが無くても強い

論より証拠、ROG Phone 3で連続ベンチマークテストを行った際のベンチマークスコアの変動とバッテリー付近の温度、そしてCPU温度の推移です。

 

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ROG Phone3 AnTuTu連続測定

わざわざ空冷ファンを取り付けなくとも、それなりに安定した冷却性能を発揮しており、ベンチマークスコアも緩やかに低下する程度で抑えられています。

CPUやバッテリーの温度も乱高下することなく、一定の温度に達した後は微増減を繰り返す程度で安定しています。

しかし、これはあくまでROG Phone3内での比較に過ぎません。これが、普通のスマホだとどうなるのでしょうか。

 

連続ベンチマークテストで分かる「普通のスマホ」との違い

いくらROG Phone3の冷却性能を説いたところで、比較対象がなければ実感できないですよね。ROG PhoneⅡと比較したところで、同じゲーミングスマホ同士で比較することになってしまい、「ゲーミングスマホ」の優位性を示すことはできません。

そこで、今回は「ゲーミングスマホ」と「普通のスマホ」を比較したいと思います。

本来であれば、ROG Phone 3と同じSoC(Snapdragon865+)を採用している非ゲーミングスマートフォン(ZenFone7 Proなど)で検証すべきですが、手元にないため、
試しに(普通のスマホかどうかはさておき)ZenFone6 Edition 30で連続ベンチマークテストをしてみました。

ZenFone6はSnapdragon 855を採用しているため、Snapdragon 855をオーバークロックしたSnapdragon 855+を搭載したゲーミングスマートフォンであるROG PhoneⅡとの比較になります。
とはいえ、Snapdragon 855+はオーバークロックされているため、そのまま比較するにはやや不適です。

そのため、ダウンクロックを行い、最大クロックをSnapdragon 855と同じ2.84GHzに引き下げて、それらしい形に整えてからベンチマークテストを行いました

 

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Snapdragon855相当にしたROG PhoneⅡ(空冷ファンなし ダウンクロック)とZenFone6Edition30でAnTuTu連続測定

ダウンクロックしたとはいえ、Snapdragon 855+はSnapdragon 855よりもやや高いスコアを出しています。もちろん、AnTuTuベンチマークはCPU性能だけでなくGPUやメモリやストレージ性能、UXなども評価しているので簡単には言えないのですが、ここではAnTuTuの総合スコアとCPU及びバッテリー付近の温度だけで評価しました。ベンチマーク結果をGoogleフォトにアップロードしたのでもし気になる方はそちらを参考にしていただければと思います。

さて、話を戻しましょう。グラフで一目瞭然かとは思いますが、ゲーミングスマホであるROG PhoneⅡは連続してベンチマークを走らせても殆どスコアが下がらず、かつ温度も普通のスマホに比べて低く抑えられています。もちろん、空冷ファンは用いずにこの結果です。

一方のZenFone6はスコアがどんどん低下していき、温度のほうはぐんぐんと上がっていくという最悪なパターンです。面白いことにバッテリー付近の温度が乱高下を繰り返していますが、急に高くなるのはAnTuTu3Dベンチの影響と思われます。

 

今回のベンチマーク結果で、ROG Phone3と普通のスマホとを直接比較ができるわけではありませんが、ROG PhoneⅡが連続してベンチマークテストを行っても安定したパフォーマンスと温度を保っていることから、それ以上の冷却性能を誇るROG Phone3が、普通のスマホに対して高い優位性を持っていることは明らかです。

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上記2つのグラフをまとめたもの。各グラフの縮尺がバラバラなため、上記2つのグラフは直接比較出来ない。

余談:ROG(ASUS)Hyper ChargeとUSB PD PPSについて。〜なぜUSB PDでは急速充電されなかったのかを考える〜

そもそもHyperChargeとは

HyperChargeとはROG Phoneシリーズ向けの独自急速充電規格です。
初代ROG PhoneではASUS Hyper Chargeを、ROG PhoneⅡではROG Hyper Chargeを、ROG Phone3では明言がありませんが「HyperCharge」を使っていることが、それぞれ公式サイトでの説明や充電時の表示からわかります。
また、ROG PhoneのASUS Hyper Chargeでは最大20W(ただし付属の充電器は30W対応),ROG PhoneⅡ及びROG Phone3では最大30Wまで対応しています。

ASUS Hyper Chargeの説明
when you use the bundled ROG Phone power adapter you also get the benefit of ASUS HyperCharge, a direct-charge technology that puts the charging circuitry inside the power adapter rather than the phone. This delivers more power (up to 20W) for shorter, safer charge times, and also means ROG Phone stays cooler when it’s charging.

及び、

ROG Hyper Chargeの説明
ROG HyperCharge direct-charging technology — which takes the charging circuitry out of the phone and puts it in the special 30W charger — gives ROG Phone II shorter and safer charge times.

並びに

ROG Phoneの充電器の説明には
“The ROG Phone 30W Adapter & USB-C Cable uses direct-charge technology that puts the charging circuitry inside the power adapter rather than the phone. This delivers more power for shorter, safer charge times, and also means your ROG Phone stays cooler when it’s charging”

https://rog.asus.com/power-protection-gadgets/chargers-and-adapters/rog-phone-30w-adapter-usb-c-cable-model/

とあり、充電器側に充電回路を持っていること、「direct-charge technology」を使っていることがわかります。

この充電回路なるものが何を指すのかイマイチ分かりませんが、おそらくPower Management(電源管理) IC(PMIC)もしくは充電ICのことでしょう。
スマホを充電する時に発熱するのは、PMICとリチウム電池を充電する際に受電した(ACアダプタからケーブルを通じて運ばれてきた)電気をバッテリーの手前で降圧する際のロスだと思われます。
(私は素人なので、間違っていたらご指摘の程おねがいします)

ASUSはこの発熱を排するために、PMICとおそらく降圧作業をスマホの内部ではなくACアダプター側で行っているものと考えられます。
少なくとも説明文や図からは、本体内部の充電ICではなくアダプター側のICを使っていることがわかりますし、「direct-charging technology」と言うからには、降圧などの作業を挟まずに直接スマホのバッテリーを充電していると思われます。

HyperCharge=USB PD PPS説

まず、ROG Phoneシリーズに付属する30WのACアダプターにはPPSという文字があります。
このPPSはProgrammable Power Supply の略で、ただのUSB PD対応ACアダプターやモバイルバッテリーに搭載されているものではなく、USB PDのオプション扱いなようです。その証左…になるかは分かりませんが、現に私が持っているUSB PD対応ACアダプターやモバイルバッテリーでPPSに対応しているものは、そのROG Phoneシリーズの付属品しかありません。
そのため、Hyper ChargeはおそらくUSB PPS規格を用いた充電規格であろうことが推測されます。
また、Hyper Chargeの説明からも「Direct-charge technology」と、USB PPSの説明”Programmable Power Supply (PPS) to support Sink Directed Charging”に近いキーワードがあり、十中八九USB PPSに乗っかった仕様だと言えます。

(2020年12月12日追記:PPS対応っぽい充電器に繋いでもHyperChargeにはならなかったのでHyperCharge=USB PPSとは言えないことが分かりました) 

USB PD PPSとは(何も分からん)

さて、避けて通れないUSB PD PPSについてです。
USB PD PPSについてですが、調べても「高い電圧を供給し受電側で降圧処理する方法では、変換ロスが生じ受電側が発熱するデメリットがありますが、小刻みに電流/電圧を変更できるPPSにはそのようなムダがありません。」というような説明ばかりで、とにかく細かいステップでの電流や電圧の調整を行うということしか分からず、あとはUSB PDのオプション規格であることが分かったくらいでした。
USB PDの仕様書を流し読みしてもそんな感じの説明だったので、細かく調節できるからなんじゃい。結局スマホでも降圧するじゃん。と思っていたのですが、ようやくそれを解決してくれる記述をしているサイトが見つかったので、引用させていただきます。

『PPS対応充電器は、バッテリー充電に最適化された状態で供給するので、ACDCコンバータの働きに加え、バッテリー充電回路の働きも兼ねます。より単純に表現すると、PPSとは「USB PD充電器が直接リチウムイオンバッテリーを充電してくれる」ように動いてくれる機能です。』

voltechno.com

https://voltechno.com/blog/usb-pdpps/

VOLTECHNO 「USB PD PPS(Programmable Power Supply)とは、USBバッテリー充電を根本から変える技術」より引用。

つまり、降圧作業をスマホですることなく供給された電力をそのままバッテリーに流せちゃうようです。ああ、それで細かなステップで電圧電流を調節する必要があるのですね。納得。

これを足がかりにもう一度USB PDの仕様書を眺めてみると、

「Sink Directed Charge:A charging scheme whereby the Sink connects the Source to its battery through safety and other circuitry. When the Current Limit feature is activated, the Source automatically controls its output current by adjusting its output voltage.」とあります。というか逆にこれしかそれっぽい説明がないのですが、取り敢えずSource(供給)側が電流電圧を調節して外部(Source側)回路を通じてバッテリーと接続していることがわかりました。

 

で?なんでUSB PDだとROG Phone3を急速充電出来なかったの?

スマホを充電する際にただUSB PDに対応しているだけでは急速充電と言える程の速度は出ません。それは、USB PD PPSに対応していなかったからです。
充電器、スマホそれぞれがUSB PD PPSに対応しないと細かな電圧や電流の調節が出来ず、USB PD充電器のPDOリストの提示する通りの電圧で充電することになります。PDOリストの電圧はざっくりと区切られているだけなので、バッテリーを充電するためにはスマホ側で降圧してバッテリーに合わせて充電する必要があります。
この際に充電ICや降圧ロスで発熱が生じてしまうため、発熱しないようにPDOリストの中から電流の小さい組み合わせを選び、結果として充電速度が遅くなったのではないかと考えています。
ROG PhoneシリーズのPDOリストを覗かない限り分かりませんが、USB PDのパワールールにある5V/9V/(12V)/15Vのうち15V(12V)には対応しておらず、よって5Vか9Vで充電する必要があり、少ない電流でも15Vで急速充電!とはいかない訳ですね。
つまり、USB PDだと直接充電出来ず、スマホ内部で降圧する必要があり、その発熱があるため電流を抑える必要があった。電圧はUSB PDの場合9Vまでしか選択できないため、9Vで少電流を流すことしか出来ず、充電が(HyperChargeに比べると)遅い、と。はい。

知らないこと&分かってないこと:

ROG PhoneシリーズのPDO→チェッカー(7000円くらい)を買って覗いてみたい。いつか。

リチウムバッテリーを充電する際の(ACDCコンバーターでの降圧後の)電圧。勝手に3.7V〜4.2V前後だと思っていたけど、直接充電しているはずのHyper Chargeで9V出ているので、違うんだなぁと。→これ、どうやって確かめたらいいの。スマホ分解してリチウムバッテリーの前に電圧計ぶっ刺すの?ヤダよ。

充電時の電流や電圧制御とかPDOリストのやり取りとかって、PM(電源管理)IC?それとも充電IC?
PMICが、どちらかと言うとバッテリーを使ってSoCとかに電力を供給する際の電力管理をしていることは分かる。ただ、Qualcommの説明とかだと、充電もPMICが取り仕切ってるような説明になっていて混乱する。
“Dual Charge is supported by including a second power management IC in the device (e.g., a smartphone).”
これは、QC4でサポートされたデュアルチャージ(バッテリー2つを並列ないし直列で繋いだデバイスに充電するやつ)の説明だけれど、とにかくPMIC使ってることが分かる。でも、じゃあ充電ICって何?降圧回路(ACDCコンバータ)のこと?
USB PD→何も分からない

 

充電関連からASUSスマホを語る。

さて、必要最低限は話したので、好きに語ります。興味なければ飛ばしてください。

ASUSはZenFone2の頃から、Boost Masterという名の18W独自充電に拘ってきました。
ZenFone3 Deluxeの発表時はQualcommのQuickCharge3.0対応を謳っていましたが、Samsungのバッテリー問題を受けて安全性にシフト、発売時には非対応化、ASUSのBoost Masterでなければ18W充電が出来なくなるという、発表時に喜び勇んでQC3対応機器を取り揃えた私が涙目になるという出来事もありました。
ZenFone4ではさらにバッテリー保護機能を充実させ、ZenFone5のZenUI 5では生活サイクルに合わせて充電速度をコントロールするAI充電機能を実装しました。
30Wにまで拡張したのは、(実際には20Wまでですが)ZenFone5と同時期に出た初代ROG Phoneで、ゲーマーの需要に応えるためというのもありますが、充電専用ICを本体だけでなく付属の30W(Hyper Charge)ACアダプターに内蔵したからというのも大きいでしょう。
30W Hyper Charge急速充電を行う時は充電制御を本体ではなくACアダプター側に行わせることで、本体の充電ICチップの発熱を抑える効果があります。先程散々説明したのでもう割愛しますが、これにより発熱によるバッテリーの劣化を防ぐことが期待されます。
このように、買い換えサイクルの短いゲーミングスマホであっても、バッテリーの発熱と劣化に気を使っていることが分かります。
また、第2世代ZenFone5の時から、スケジュール充電にも対応し、過充電によるバッテリーの劣化をスマートに防ぐ取り組みを始めました。
ZenFone6では、まるでZenFoneMaxシリーズのような、いえ、Maxシリーズを凌ぐ5000mAhという大容量のバッテリーを搭載したのにも関わらず、ROG Phoneシリーズのような30W急速充電には非対応のまま、18Wの充電を固持しました。バッテリーが大容量になればなる程、100%まで充電するための時間も長くなるため18Wではなくもっと大きな電力供給をするべきなのにも関わらず、です。
これに対して、ASUSはバッテリーサイクルを理由に挙げました。つまり、バッテリーを劣化させずに長く使ってもらえるようにということです。
繰り返しになりますが、ZenFone6は5000mAhという大容量バッテリーを搭載しており、多少の劣化にも十分耐えられるスマートフォンです。にも関わらず、バッテリーサイクルを優先させたのはつまるところ、ZenFone6への自信の高さ、つまり何年でも生活に寄り添えるスマートフォンであるということを示しているのでしょう。
バッテリーの話からここまで飛躍させるのも如何かとは思いますが、趣味で書いているのでこのまま続けます。
ZenFone6は今までの常識を打ち破るZenFoneです。フリップカメラというのもそうですし、モバイル部門の方針も、今までの「バリエーションを増やしニッチを確実に埋めていく」という姿勢を改めハイエンドに全力投球という形になりました。
ZenFone6は今までのZenFoneの要素、つまりZenFoneLaserシリーズのLaserAF、ZenFoneMaxシリーズの大容量バッテリー、ZenFone ZoomシリーズのZoom性能を(64MPのトリミングという形ではありますが)取り込んだ意欲作です。
そりゃ、自信も満々になるというものです。
そして、その後継機であるZenFone7シリーズとも立ち位置が違います。ZenFone7シリーズは5G対応機で、なおかつイヤフォンジャックを搭載していません。明確に棲み分けが出来ており、2年、3年と経とうと4Gフラグシップフリップカメラとして十二分に戦えるモデルです。
長くなってしまった挙げ句、話が逸れてしまいましたが、ZenFone6の18W充電は自信の表れという話でした。ROG Phone 3のファーストインプレッションでする話ではないですね。

拡げた風呂敷もそろそろ畳むとしましょう。ZenFone7シリーズで話をまとめたいと思います。
ZenFone7シリーズはZenFone6の後継機で同じく5000mAhの大容量バッテリーを搭載していますが、5G対応のためバッテリー消費は大きくなっています。そのため、充電速度を上げる必要があったのでしょう。言い換えれば一日フルで使った際にバッテリーを保たせられる自信がなかったため、日中も充電することを想定し、とうとう30Wの充電に対応することとなりました。
しかし、ZenFone6でバッテリーサイクルへの配慮を見せたASUS、ZenFone7のバッテリーの劣化を防ぐために、低速充電や充電制限機能などを備えユーザーに選択肢を与えています。夜充電する際には低速充電やAI充電で温度上昇や過充電を防ぎ、日中バッテリーが心許なくなったら30Wで急速充電という訳です。また、究極のバッテリーサイクルを実現するために本来の80%までを充電の上限とし過充電によるバッテリーの劣化を防ぐことも可能ということです。
ああ、長々と充電回りの話でASUSスマートフォンを語ってしまいました。
とりあえず書きたいこと思っていたいくつか書けたので、ここらで筆を置きたいと思います。

 

最後に:ROG Phone3はいいぞ。

もっとがっつり使い込んで濃いレビューを書きたいと思います。信者だからこそ慮ることなく厳しく見ていきます。解決策は見つかったけどディスプレイの黒潰れ問題とか、eLTE掴んだだけで5Gって表示するんじゃねぇよそもそも5G NRバンドが見れねぇじゃねぇかとかそういう不満とかもあるので。

なんか、ファーストインプレッションの文字数じゃあなくなってしまいましたね。ごめんなさい。
しかも、関係ないことばかり… 普通に別記事に分ければいいとは思うのですが、なんかもう止まらなくて…

 

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